ともそだち通信1月号

新年あけましておめでとうございます
みなさまにとって良い1年でありますように

年末年始、子どもたちやご家族の皆様はどの様にお過ごしになられたでしょうか。わくわくステーション、ムーンショットステーション、未来カレッジウィリッシュでは、年末はみんなで大掃除をし、お正月のお飾りをつくり、ともそだち初のお餅つきをして年神様を迎える準備をしました。そして、お正月には新年会をしてお汁粉を作って食べたり、すわっこランドで泳ぎ初めをしたり、たこ山でどんど焼きをしたりして日本の伝統行事や風習を味わっています。
私は、年末に、ため込んだ書類をようやく整理し始めました。結局、未だ中途半端な状態ですが、書類の山の中から、平成最後の年の12月の通信が出てきました。自分が書いた文章ですが、原点を噛みしめる思いでした。ご記憶にある方もおられるかもしれませんが、令和4年の新年に当たり、改めて皆様と思いを共有したいと考え、掲載させてもらうことにしました。

年末(平成30年)に子どもたちが新年に書いた書初めを眺めていると、福祉や教育について思うことがいろいろあります。この15年間で、障がいのある人たちを取り巻く福祉制度や社会の見方は大きく変わり、学校生活や地域生活も様変わりしました。かつて昭和40年代、日本の障害者福祉は、地域から離れた場所に大きな施設をつくり、そこで安心して暮らすことが障害のある人たちの幸せという考え方がありました。全国各地で巨大コロニーが建設され、長野県にも西駒郷コロニーがつくられました。しかし、世界のノーマライゼーションの思想の誕生と同じ時期に、日本でも隔離政策に反対し、「施設から地域へ、どこで生きるかは自分が決める」と、身体障害者の人たちが中心に声をあげた障害者運動が起こりました。この運動は各地の福祉の街づくり運動や市民運動に影響を与え、公共の施設にスロープやエレベーターが設置され、障がい児統合教育の取り組みが進み、共育・共生  をめざす親の会の運動が生れる等、福祉施策の転換のきっかけになりました。
現在は、発達障害者支援法(平成17年4月施行)、障害者総合支援法(平成25年施行)、障害者権利条約批准(平成26年)障害者差別解消法(平成28年4月施行)等の法律が整い、学校では特殊教育が特別支援教育にかわり、インクルーシブ教育、合理的配慮が当たり前になりました。放課後等デイサービスもこの大きな障害者福祉施策の転換の中で生まれ、障がいのある子どもたちやご家族の当たり前の生活が保障されてきています。
このように制度や施設は整ってきていますが、わくわくステーションに通ってきている子どもたちは、それぞれに苦しさや生きにくさを感じています。≪学校に行くのが苦しい、友だちと仲良くできない、勉強がわからない、色々なことにイライラしてしまう、僕は障害者なの?・・・≫。
日々の活動の中で子どもたちの気分の浮き沈みを受け止めながら、放課後等デイサービスのわくわくステーションでできることは何だろうとスタッフで話し合うことが多くなりました。
≪制度や環境が整っても、一人ひとりの悩みや苦しさは解決されず、年齢が上がるにつれて、かえって複雑でわかりにくくなる≫ということに直面し、どうしていったらいいのかとまどっています。「反抗期だから、思春期だから」で、時が解決してくれる・・・ものではなく、そこを乗り越えることが難しい子どもたちだからこそ、私たち支援者の関りや適切な支援が重要になると思います。
誰かのせいにせず、特性だからとあきらめず、あそび心を片手にさわやかにたたかうこと!みんなで力を合わせてがんばること!! 子どもたちのお習字を眺めながら、そう決意した年の瀬です。

この文章を書いた日から3年の月日が過ぎ、未来カレッジウィリッシュやムーンショットステーションができました。サービスの質の向上が求められる時代になってきましたが、福祉が商品の様に取り扱われていくのではないかという危惧も感じています。
デジタル化が進み教育も福祉も大きく変わっていきますが、ともそだちプラネットの職員は、子どもたちや親御さんの日々の苦しさに心を寄せて、悩むことを恐れず、障害のある人たちの意思を代弁し、ともに生き合う関係を希求していく集団でありたいと決意する年の初めです。
みなさま、本年もよろしくお願いいたします。(代表 福田敬子)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です