今年の夏休み…ともに育ちあい、ともに生きている実感!!
夏休み、わくわくステーションとムーンショットステーションには朝から子どもたちの賑やかな声があふれています。学校がお休みのこの一か月間は、子どもたちはどんな気持ちでいるのでしょうか。子どもたちの中には、ほぼ毎日、通って来ている子どももいます。お盆が近付いてきた頃「早く学校に行きたくなってきちゃった。もうゲームもあきてきたし、友だちと話したくなってきた…」と話す子もいました。
放課後等デイサービスは、障がい特性に配慮した療育の場と言われていますが、ともそだちの夏休みは、専門性や療育の世界とはずいぶん違うと思う毎日です。まず、集団が苦手、友だち関係がつくりにくいと言われている子どもたちが、毎日10名以上集まって朝から夕方まで過ごします。「夏休みはわくわく学校になるよ」と伝えて夏休みをスタートしましたが、みんなで一緒に過ごすには生活の枠組みが必要です。一日の生活の流れを決めて、遊びの活動だけではなく、学習をしたり体操をしたりお仕事活動をしたりして過ごします。いつでも好きな事を好きなだけ自由にできる訳ではないので、切り替えが苦手な低学年の子どもたちは、この流れを受け入れられるかが難関です。でも、自分でやりたいことを見つけて時間を過ごせることも大事に考えています。朝夕の時間や活動の合い間の休み時間には好きな工作をしたり、読書をしたり、水鉄砲やしゃぼん玉や水遊びをしたりして、みんなで自分の遊びを楽しんでいます。
ともそだちの夏休みのメインの活動は、子どもたちの遊びの世界を広げることを願って、普段できないことや自然の中での体験を思いっきりできるようにと春先から計画を立てています。ディズニーランドの様なテーマパーク的な体験ではなく、自然の中で五感を使って夢中で遊ぶ体験や時間を忘れて友だちと過ごす体験、楽しいだけではなくめんどくさいと思うことでもやり通す体験、誰かのために働く体験です。昨日は、ムーンショットの子どもたちと電車を乗り継いで小海線で野辺山まで行き、牧場で馬に乗ってソフトクリームを食べてきました。往復3時間かけての電車の旅ですが、ボンヤリ車窓をながめたり思いにふけったりして電車の旅を楽しんでいる子どもたちでした。今は、インターネットやYouTubeで検索すると何でも調べられるし見ることができますが、情報として知っていることと体験したことはまったく違うものです。わざわざ時間をかけて電車で遠くまで出かけて馬に乗り高原の風を感じた一日でした。馬に乗ることが初体験の子どもたちも、友だちがやっている様子を見て自然に乗っていました。不思議な一体感や安心感がありました。それも含めて、ドキドキしながら初めて馬に乗ったという体験が記憶に残ったと思います。2泊3日の妙高の夏キャンプでも、みんなと一緒で楽しかったという数々の体験が鮮明な記憶として子どもたちに残り、子どもたちのこれからの日常を支えてくれるだろうと思います。
子どもたちの中には、6年以上ともそだちで夏休みを過ごしている子どもたちがいます。職員よりもずっとこの仕組みを知っていて、ここでの体験が育ちの一部になっている子どもたちです。イベント事は大得意で、先日のきつね祭りでは自信をもって販売活動やゲームコーナーを仕切る姿がありました。
こうして長期休みに長い時間を一緒に過ごすと、職員も子どもたちも、それぞれの様子がわかってきます。あの子は何が得意で何が苦手なのか、どうすれば仲よく遊べるのか、どう言えば気持ちが伝わるのか。ここではどうしなければいけないのか、何をすることが良いことなのか、etc。職員は毎日の活動の計画や記録にフル回転で「夢の様に日々が過ぎていく」と言っていますが、子どもたちや保護者のみなさんの育ちと暮らしを支えようと奮闘しています。こうした毎日を「療育のあり方です」と胸を張って言うことはできませんが、ともに育ち合いともに生きている、今の時点での私たちのあり様だと実感しています。
【センター長 福田敬子】