夏休み 夢中で遊び一緒に暮らす子どもたちの世界
今年の夏休みも暑さの影響もあってか、各学校とも約一ヶ月の長いお休みでした。ともそだちプラネットでは早々5月から夏休みの計画を考え、子どもたちにどんな体験の機会を用意するかを検討してきました。
そもそも、夏休みはいつから始まったのか、なぜあるのかを調べてみると、何と1881年(明治14年)から始まり、「暑さのため授業ができないので夏季休業として、普段の生活ではできない経験や、自主・自律的な生活態度を形成することを目的とする」とありました。今から140年以上前からあったことと、普段できない経験の機会のための休みとされていることにびっくりしました。
さて、そこで5月から考え始めた長い夏休みですが、今年は異年齢の友だちや、色々な特性をもつ友だちと一緒に生活する機会を大事にすることにしました。子どもたちにも「夏休みはともそだちクラブだよ」と説明して、基本的にはわくわくステーションとムーンショットステーションの子どもたちが縦割りのグループで活動する様に仕組みました。はじめは子どもたちから「わくわくはうるさい!」「ムーンだけでやった方が早い!」「ムーンの人たちはこわい!」といった声もありました。もしかすると職員の中にも、それぞれでやった方がスムーズだという気もちもあったかもしれません。それでも一緒に活動を進めるうちに、高学年がリードして活動したり、低学年が憧れの目で高学年を見つめたりする姿が見られる様になってきました。「どう伝えれば低学年はわかるのか…」「大人ではないお兄さんたちはムチャ言うと本気で怒る!やばいかも…」といった子どもたちの世界の中で、大人の支援や専門性では及ばない質の育ち合いがあるのではないかと感じています。ともそだちの職員の役割は、子どもたちの様々な体験を見守り、必要な助言をして支え、仲よくしたいという願いをかなえられる様に導くことなのかもしれないと考えるようになりました。
そして今年も、7月31日から2泊3日で新潟県の妙高青少年自然の家にキャンプに行ってきました。熱中症が心配される中、万全の対策をして出かけましたが、昨年よりも涼しく快適に過ごすことができました。そして、今回は「ともそだちキャンプってこれだよね」とその良さや価値を再確認できたキャンプになりました。
今年のキャンプは毎年くり返し参加している子どもたちが多く、自分たちで「次はアレだよね」と先を読み、何とか自分の荷物を整えながらどんどん準備をして生き生きと生活していました。そんな姿に引っぱられ初参加の子どもも職員も不安を感じる間もなくキャンプ生活に突入していきました。食堂にごはんを食べに行くことも大浴場に行くことも楽しくて仕方がない子どもたち。海でずぶぬれになったり、広い野尻湖でドキドキしてカヌーに乗ったり、いもり池でスタンプラリーをして大声でカエルの歌を合唱したり、キャンプファイヤーの火を見つめたりとキャンプでしか経験できない体験もたくさんしました。自分が空っぽになるくらい夢中で遊んで、たくさん食べて、眠って、友だちと一緒にエネルギーを補充してまた遊んで…。そんな時間の中で知らなかった自分の力に気づき、人と一緒にいることの心地の良さを感じることができた3日間だったと思います。3年前は海に近づけなかった女子がキラキラ笑って波と遊んでいたり、久々に参加した高校生の男子が「今回来て本当によかった。すごくいい経験になった。また来年も来るよ」としみじみ話しをしてくれて、職員を補佐してたくましく働いていたりと、子どもたちの成長は眩しいものでした。毎年くりかえしてきたともそだちキャンプですが、今年はひとり一人の子どもたちの中に体験として残り、長い年月を通して子どもたちを育てていく貴重な場であると感じらることができた2泊3日でした。
【センター長 福田敬子】